Ireland-Claisen転位反応
やっとです。すぐ記事にすると吹いていたのにこのザマです。
今回はIreland-Claisen転位反応について紹介します。
この反応は、僕の全合成のキーリアクションにもなっている反応です。
Claisen転位とは
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Claisen転位反応とは、一般的にアリルビニルエーテルからγ,δ-‐不飽和カルボニル化合物への熱的[3.3]-‐シグマトロピー転位の総称です。
Ireland-Claisen転位(概要)
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Ireland-Claisen転位反応は、O-トリアルキルシリルケテンアセタールからγ,δ-‐不飽和カルボン酸への熱的[3.3]-‐シグマトロピー転位のことを指し、1972年にRobart E. Ireland博士によって報告されたことからこう呼ばれます。
この反応の利点として、
・比較的温和な反応条件で進行する(室温もしくはそれ以上(60℃とか))。
・高い立体選択性で進行する。
などが挙げられます。
その一方で、欠点として
・エノラートの生成に強い塩基が必要であること。
が挙げられます。
HMPAによる、エノラートのE/Z選択性については、
有機化学反応と溶媒 (Chem-Station) を参照されたい。
関連する反応として、Johnson-Claisen転位とEschemoser-Claisen転位があります。
Johnson-Claisen転位は、酸性条件下で進行し、Eschenmoser-Claisen転位は、中性条件で反応が進行します。
この2つの反応は、いずれも100℃以上の温度が必要になります。これらと比べることで、Ireland-Claisen転位が比較的温和な条件で反応していることがわかります。
この2つの反応も一緒に確認して覚えておくといいかと思います。
反応機構
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反応機構は以下のようになっております。
・原則として、イス型遷移状態を経て反応は進行する。
・環状系の基質では、立体的な制約のため舟型遷移状態が優先する。
実際の反応例については、参考文献を参照してください。
(参考)
・アイルランド・クライゼン転位 Ireland-Claisen Rearrangement - ODOOS -合成反応データベース- by Chem-Station
なにか、指摘、質問等がアレば、コメント欄にどうぞ。